平成24年6月28日(木) 滋賀報知新聞に掲載されました。

田んぼ育ちのニゴロブナ 小川町の農家ら 大同川へ放流

  <記事抜粋>

=琵琶湖の水産資源回復を願って見送り=
落水で流下してきたニゴロブナを網ですくい確認する農家ら(東近江市小川町東小田地域の水田で)

◇東近江
 琵琶湖固有の水産資源を回復させようと、東近江市小川町の農家らが二十一日、約一カ月にわたって水田で育ててきたニゴロブナの旅立ちを見送った。

 ニゴロブナは、滋賀県が全国に誇る水産加工特産品“ふなずし”の原材料。水田耕作者の一人、大前善久さんが「昔はよく湖魚も釣れたが、今は外来魚ばかり」と嘆くように、ブラックバスやブルーギルといった外来魚による食害が深刻化し、減少している。
 近江の食文化と豊かな生態系を守るため、県内で取り組まれているのが、琵琶湖周辺の水田を活用した魚の種苗生産。人の手である程度の大きさまで育て放流することで、効率的な資源増加を図る。
 飲み水としても活用できるほど美しいわき水に恵まれた小川町の環境を生かし、同町内の農家三軒と小川営農組合が所有する水田四筆(計百二十八アール)で、ニゴロブナの種苗生産が初めて行われた。
 先月二十三日、地元の八宮保育園四、五歳児三十八人が、滋賀県水産振興協会琵琶湖栽培漁業センターから提供されたニゴロブナのふ化仔魚(卵からふ化した直後三日目のまだ卵黄を持った魚のこと)三十九万匹を放流した。

 滋賀県水産試験場の指導を受けながら水管理を徹底した水田では、自然発生した豊富な動物プランクトンのほか、野鳥などによる被害が少なかったため、約三十日で体長五ミリから三センチ程までの大きさに育った。放流したニゴロブナのうち七〇~八〇%(二十七万三千~三十一万二千尾)が生き残ったと考えられている。
 田んぼでの育成期間を終え、中干しのための落水に合わせて、一級河川の大同川へと流下されたニゴロブナ。
 種苗生産に取り組んだ薗博さんは「小さい頃は、このあたりの田んぼでも遡上してきたフナやナマズを捕まえることができた。近い将来、大同川で多くの湖魚が悠々と泳ぐ姿を思い描きながら、今回初めて試みたが、多くの稚魚が順調に育ち、成功してよかった」と胸をなでおろし、勢いよく川へ飛び出して行く小川町育ちのニゴロブナたちをやさしく見送っていた。

滋賀報知新聞掲載箇所参照

 

滋賀県東近江市

 小川町3210番地1

TEL:0748-42-8335

 

■サイト内検索